建築の旅・上遠野徹自邸

家族旅行で札幌に行き自由時間を確保して建物探訪へ。

札幌の家・設計上遠野徹(自邸)

以前本を読み知り、いつかはと思っていました。

コールテン鋼の鉄骨造の構成に軽やかなアプローチ。

ミースファンデルローエのファンズワース邸を思わせる。

内装は外観の感じとはギャップがあるモダンで温かみがある。

床はコルクタイル、天井はヒバ羽目板。

ヤコブセンランプや家具も相まって北欧の雰囲気。

低めの天井高は複層ガラスの最大寸法から決めたそう。

まだ既製の複層ガラスサッシが無かったためビルサッシのようなオリジナルサッシ。

連窓のアングルに木を仕込む憎い演出。

スチールの冷たさを視覚的に軽減してくれますね。

一風変わった窓があった。

開けてみると引き違いがあり、最奥が滑り出し窓サッシになる。

滑り出し窓の上部は通気のための開口部があり、内倒し板戸で蓋がしてあった。

元は引き違いはなく、そこを開ければ窓を閉めてても通気が取れるような試みだったよう。

防犯や遮光も兼ねていたようです。

開口部廻りの感じからやはり近代建築を感じる。

見付けが小さかったり、壁と一体化するような意図を感じる。

玄関入ってすぐに大きな框引き戸。

外に風除室を作るのではなく室内に作る。

季節に応じて使い分ける、寒冷地ならではの工夫。

堀商店のレバーハンドル。

丁度良いモダンさとレトロ具合。

残念ながら廃盤。

かなりレアなスイッチ。

家具用として売られてたそう。

煉瓦外壁と軒天の納め、少し逃す。

アアルト、コエタロの実験住宅のよう。

表から見えにくいところが賑やか。

手前の月見台は桂離宮からの着想。

煉瓦をLアングルフレームで囲み軽快な納まり。

障子が見えているところは戸袋で本来なら外壁面になるところだが、FIXガラスにインセットで作っている。

まさにカーテンウォール、水平連続窓とも言える。

ミースやコルビュジエを感じ、アアルトを感じ、桂離宮からもエッセンスをもらっている。

実際に、今建築設計に関わる人は全員と言って良いほどそれらには同じように影響を受けている。

なんとなく大枠として似た設計になりがちな昨今、この同じインプットからのアウトプットの違いが面白い。

時代や地域が違えば答えは違うのは当たり前だが、まだ定番と言えるものが無い中の先進性や挑戦を感じる。

GWにも関わらず、長時間説明していただきました。

ありがとうございました。

旅と建築は本当に相性がいい。

いつも便利な趣味で仕事だと思う。

スタッフ阿部

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