家族葬ホールの設計の依頼があり、近しい施設の名作として、初めて山形県金山町にある火葬場を訪れた。
イグネのような木々の中にある小さな火葬場。
建築家・益子義弘の設計です。
長い車寄せがあり重厚な扉が迎えてくれる。
少し暗い廊下と並木を思わせる列柱があり、印象的な照明計画。
その先に火葬と骨上げを行う広場があり、両側が大きな窓で緑を取り込む。
宗教観のない設計を行なったとのこと。
宗教に関わらず、最後は自然に帰るという暗示であると受け取った。
それが故、仏教的要素は感じず、チャペルのようでもあり、どこか神聖な雰囲気を感じとる。
森に向かってベンチが置かれていた。
森を介して故人と対話するような、
待っている間、お別れの時、悲しくもあり、でも時間は止まることなく流れていく。
おそらく、家族とも離れて静か向き合いたい時間もあるだろう。
そう言った不安を、木々を見て少しでも癒されればという想いも感じる。
悲しさに寄り添う建築であり、
生を全うしたことに賛美を送るような、崇高な気持ちの建築であるように思った。
建築人として、ここを訪れたものは皆ここで焼かれたいと思う、素晴らしい建築でした。
スタッフあべ