建物の外壁。
外壁は外観の大半を占める部分で印象付ける大事な要素です。
外壁、建築用語ではサイディングと言われたりする部分。
どんな種類があるか知ってますか?
ちなみに一般的に1番流通しているのは『窯業系サイディング』というものです。
改めて調べると、セメントと木繊維を板状に加工し、窯で熱処理をしたもの、とあります。
なので色々な模様を付けるとこが出来ます。
レンガ調とか
石目調とか
木調とか
こう見せられれば、あーたしかによく見るかも、と気付けると思います。
ただ、私はその窯業系サイディングが好きではありません。
単純にイミテーション、模造品、言ってしまえば偽物、紛い物です。
基本的には「〇〇調」は使いたくありません。
メリットは安価なことでイニシャルは良いです。
デメリットはランニングコストです。
再塗装や継ぎ目のシーリングの打ち直しなど、意外と大変です。
塗装で耐久性を保たせているようなものです。
そのメンテナンスを怠るとこんな感じ。
剥落してセメント素地が露出してしまい、雨を吸水し、冬は吸水してしまった水が氷となり膨張して、また剥落してしまう。
ここまでなったらもう外壁貼り替えしかありません。
足場を建てて、再塗装を依頼するのはなかなか高額です。
そう言ったことを避けるため、弊社では主に2種類がよく使用されます。
その1、ガルバリウム鋼板。
屋根と同じガルバリウムという高耐久の亜鉛鉄板です。
基本的には20年以上保つと言われています。
メンテナンスが行き届けば40年保つとも。
ガルバリウム鋼板の敵は錆やそれを誘発する埃や汚れ。
なので素材として軒が無い、キューブ状の住宅と相性が良いです。
降雨が汚れを洗い流してくれます。
ただ、全く軒が出ないのは雨漏れの原因になるので、少し軒を出すか、外壁内での防水対策に万全を期します。
SGL鋼板という、マグネシウムを添加したさらに高耐久のガルバリウムも出てきました。
その2、木板張り。
もちろん本物の木材の板です。
「腐らないの?」とよく聞かれます。
「じゃあ神社やお寺は腐ってるの?」
と聞き返すようにしています。
確かに色の変化はします。
それが劣化なのか経年美化なのかはそれぞれだと思いますが。
腐るには3つの要素が揃わないといけません。
・酸素
・栄養
・水分
そのいずれかが欠ければ木材は腐りません。
木材自体が栄養であり、酸素を空気中から無くすことが出来ない。
なら濡れている時間を短くすればいい。
幸いにも現代の住宅は通気工法になっています。
外壁の中が通気されている状態なんです。
なので降雨があれば多少濡れますが、そのうち乾きます。
もし傷んでも部分貼り替え可能ですし、木材に世の中から無くなることは有りません。
窯業系で面倒なことは部分貼り替えが難しかったり、出来ても廃盤になってしまって同じものが無くなっているということが多いことです。
外壁の木材を濡らさないとこが耐久性に寄与するので、屋根の軒を出すことが肝心です。
そして、外壁材の中は透湿防水シートというもので包まれているのですが、それを高耐久のものにするとこです。
黒いのがその透湿防水シートです。
この案件ではウルトというドイツ製で紫外線劣化に強いシートを採用しています。
板の隙間は絶対にあります。
そこから紫外線が侵入しても問題無いことが大事です。
ちなみに世の中的にその3に挙げられる左官壁。
と言っても弊社ではまだ採用例がありません。
写真は名高い伊礼智さんの案件を拝借。
左官は継ぎ目なく、基本的に痛みにくい素材です。
木板外壁と同じように軒を出すべきだと思います。
ただなんと言っても高額。
採用出来ない理由はそれだけです。
デメリットは割れるかもしれないことや、部分塗り増し・塗り替えは難しいので、直したい面を全て直さないといけないとこです。
ただ圧倒的にかっこいいので是非やってみたい仕様です。
とりあえず、基本的にはガルバリウムと木板がバランス良いと思っています。
窯業系は安価である以外メリットはありません。
住宅は一度建ててしまえば長く住むもの。
素材の特性を理解して選ぶとこが大事です。
スタッフあべ