照明、スイッチプレート、ハンドル、ドアノブなどなど。
最後の空間への味付け?引き締める役割として小物があります。
今回はそんな小物の話し。
普段から気をつけている選定基準は、シンプルで品が有り普遍的なものであることを第1としています。
次いで可愛げがあったり、経年変化を楽しめる物であったりしますが、それは間取り、空間作りの段階で決まる方向性やオーナー様の好みによるところになります。
今回の葛岡の家では可愛げがありレトロな要素があることや、暖かみがあることを特に気をつけて重視しました。
一部をご紹介したいと思います。
定番の所から、開き扉のハンドルと丁番。
ハンドルは堀商店の小型のもの、何十年も昔からある定番品です。
手の平に納まる程小さく可愛らしく、安定感あるラッチ心地?笑
丁番はフランス丁番、オリーブ丁番やナックル丁番と言われる物で丸みがあり可愛いです。
造作家具の引き手つまみ、真鍮でシンプルな物と革製です。
手に触れる金属はコーディネート上問題なければ真鍮を使いたい。
経年変化することから多用する自然素材と相性が良いと思いますし、金属の中では1番親和性が高いと思っています。
革製引き手は上記と共通する所も大いにありますが、普段の動線上だったため引っ掛かりの無いよう敢えて柔らかい素材としました。
その中でも強度や仕上げが1番良いものを選んでいます。
コバの処理がされ、先端は真鍮棒を巻いた小洒落たものです。
トイレペーパーホルダーです。
東京の雑貨屋で社長が密かに仕入れていたスペシャルです。
木製で暖かみがあり、でも形状は既成概念から逸脱したポップなもの。
オーナー様はアパレル勤務で外国にも縁があるのでなんとなく似た雰囲気を感じ即採用を決めました。
次はいつ買えるのか分からない商品です。
ベロが欲しい人要らない人。
真鍮だったり、2連だったり。
ペーパーホルダーは結構好みが別れる所で難しいです。
水栓とスイッチプレート。
水栓はクロスハンドルのレトロなもの。
壁付けなので水垢が付きにくいです。
レバーが1つでもっとシンプルな物もありますが、洗練され過ぎた物は相性が悪いと思い避けました。
今回、スイッチ・コンセントプレートはパナソニック、フルカラーの新金属プレート1型としました。
新金属はレトロな雰囲気を出してくれる上に高耐久です。
2型というビスが見えないもっとシンプルなタイプもあるのですが、何となくシルエットがモタついてしまったり、ビスが見えることが意匠的に良い場合だと思ったので今回は1型を採用。
さらにボタンが1つ場合は正方形のミニプレートという物があり、可愛いと思うので多用しています。
トイレは今回窓が無い作り。
意外と思うかもしれませんが、掃除や断熱の弱点、またはコストの兼ね合いからトイレやお風呂の窓をつけない方が増えています。
でも昼間はある程度明るくしたいので欄間にガラスを入れました。
使用中の表示明かり窓の役割もあります。
そのガラスはレトロな雰囲気のストライプガラスとしました。
今回設計のご依頼していただくにあたり、以前開催したオープンハウスで、このような意匠の建具をご夫婦で気に入ってる様子でした。
また始めの段階から、2階LDKの天井はラワンベニヤもいいねと要望がありました。
そういった要素から、全体の″少しレトロな″に繋がっています。
今回の最後に照明を紹介。
知ってる方にはもうお馴染みのモーガルソケット+裸電球。
シンプルな意匠で交換が楽で、なんと言っても安価です。
電球はLEDで、今は昔と違いシームレスな電球らしい見た目のものが増えました。
クリア球も可愛いのですが、グレア(眩しさ)を嫌うので白いボール球を選んでます。
このように設計する上で自分の定番として沢山のストックはありますが、その中から案件ごとに最適な物を選定しています。
場合によって古物、アンティークの物にも及び納得いくまでとことん探します。
その細かな微妙なニュアンスを汲み取り、組み合わせコーディネートしていきます。
建築にとって空間作りが最も大切で、一般住宅であっても例外ではありません。
それと同じくらい、小物選びはかなり慎重に熟考し吟味しています。
ファッションで例えるならベルトや時計など、アクセサリー選びのような物だと思っています。
空間構成(ジャケット、パンツ)が良くても、そういったところでガッカリすることは多々あります。
空間の最後の良し悪しを決める大事な大事な所です。
されど小物。
気をつけましょう。
スタッフ阿部